新型コロナワクチン開発の立役者 カタリン・カリコ氏出演のクローズアップ現代+に励まされた話
今年の5月にたまたま見たテレビ番組です。とても感動しました。
研究者見習いの端くれとして過ごしている私にとって、基礎研究に打ち込む大きなモチベーションとなっています。
見た当時もTwitterで一言だけ書いたんだけど、時間のある今改めて記録しようと思う。
当時の記憶で書くからもしかしたら間違っているかもしれない。すみません。
カタリン・カリコ氏はハンガリー出身のRNA研究者で、長年地道なRNAの基礎研究を行ってきた。
途中ハンガリーで研究が続けられなくなり、何もない中アメリカへと渡って研究を続けていた。
当時の医学界はDNA研究の方が盛んで、RNAはマイナーな研究分野だった。
予算がつかず、他のラボメンバーの予算を頼りに研究を続ける日々だった。
mRNAワクチンは、かつて実用化が難しいと言われていた。
体の中で炎症反応を起こしてしまうという重大な問題があり、なかなか解決が出来なかった。
結構な研究者から「不可能だ。なんでそんな研究やっているんだ」と批判されていた。
それでも長年地道にデータを取り続け、研究を続けていた。
彼女は決して諦めなかった。
そんな中、今回の新型コロナウイルスに対しmRNAワクチンが実用化でき、長年の研究がようやく花開いた。
しかもワクチンの効果は予想以上に高く、現在世界中で頑張って打っている。
彼女は現在もmRNAワクチンの有効性について研究を続けているとのこと。
彼女は様々な名言を番組中で残していた。
「不可能だという思い込みが、挑戦することを妨げてしまう」
「他人や環境は変えられないが、自分で変えられることを見つけて集中する」
「自分はヒーローではない。ヒーローは医師や看護師、清掃作業員であって、私は研究室にいただけだ」
番組後半ではiPS細胞の山中伸弥教授とのテレビ電話会談も行われていた。というよりそれがメインだったかもしれない。
研究者としてどのような価値観を持っているか、お二人のお話は非常に興味深かった。
細かいところは忘れてしまったのだが、お二人とも「基礎研究の大切さ」を訴えかけていて。
私はそれが一番印象に残っている。
不可能だと言われていることでも、決して諦めず、地道に基礎研究を続けていくことが、のちに大きな成果を導くのだと。
また、カリコ氏の昔の同僚がインタビューに答えていたのですけど、彼女はデータ第一主義だったことが印象的だったとおっしゃっていた。予想と違うデータが出てきても、「分かった、次」と言って予想外だったことについて狼狽しないと。「だってそれがデータだろ?」と彼女はおっしゃっていたと。さらに、「休日はゆっくり論文が読めて嬉しいわ」と言うような、研究熱心な人だったと。
それを聞いて私はやっぱり自分の研究のことに思いを馳せるのです。
今正直何の役に立つかと言われれば立たない、50年後くらいには何かの役に立つかもしれないねという分野で研究していて、おもちゃ作っているとか揶揄されて、どうしてこんな研究やってんのやろ、と思う日も沢山あるのですけど、ノーベル賞級の研究成果を挙げる方だって、地道な基礎研究の積み重ねの上で成り立っているのだなと知ったのです。研究していた当時は同僚に何のための研究か分からないとか批判されていたのです。でも2020年にこんなにも大きな成果を挙げているのです。
だから、もしかしたら私の研究が50年後の何か大きな成果の土台になるかもしれないし、ならないとしても、理学の礎に少しでも貢献できるなら、それは嬉しいことだな、と当時深く思いました。
彼女の頑張りと成果は私の心の支えになっています。
私はこれからも淡々と実験してデータを集めます。
今回は以上。