大学院生の引きこもりが3年かけて卒業を目指す日記

東京の大学院で毎日楽しく実験をしています。うっかり留年が決まったので3年で卒業できるよう頑張ります。専攻は有機化学。構造有機化学、合成有機化学、遷移金属触媒反応、超分子、ロタキサン。お酒と地下アイドルとシュミレーションゲームが好き。twitter:https://twitter.com/ch2cl21?s=09/

家で仕事ができない/今年の文献紹介についての日記

私は家で仕事ができない。

 

子供のころから、家で勉強しない生活だった。

小中なんてろくすっぽ勉強しなくても成績が取れたし、たまに勉強する時も、塾や公民館の自習室で行った。

高校も予備校も大学も基本的に自習室で勉強していた(そもそもあまり勉強はしていない)。

うちは利便性全振りのマンション住まいで、自室が妹と一緒なことが大きな原因である。妹が寝ている横で電気をつけて勉強なんてしていられない。何より妹の前で勉強するなんて恥ずかしくてお互いみじめになるからできない。我々姉妹は、家で勉強の話題を基本的にしない暗黙の協定を結ぶことで、仲を良く保っているのである。

 

研究室で文献紹介を進める

さて今研究室に配属されて、有難いことに研究室に自分のデスクが配置された。紙切れ一枚出せば研究室に泊まり放題住み放題である。

今は春休みで、私は今週1週間は実験をしないと決めた。でもやらなくちゃいけないデスクワークは溜まっている。文献紹介が来月の中頃なのである。3月中に草稿は仕上げるくらいの勢いでいきたい。

(ちなみにいうと文献紹介とは、全合成の論文を適当に1つピックアップしてその合成スキームを事細かに説明する、ゼミの一種です。)

家でできるならば全然問題ないのだが、ぶっちゃけ研究室に来た方が10倍くらいはかどるから研究室でやることにする。やはり私は家で仕事をするなどできないのだ。ついでに言うと昼より夜の方が作業がはかどるので夜に泊まって作業することにする。昼は遊ぶ。

風の噂で聞いたどこかの院生が、午後3時に来て朝5時に始発で帰る生活をしていると、まだ学部生のころに聞いて、研究室はげに恐ろしき場所なりと恐怖したのだが、いざ院生になってみると、その生活が楽であろうことはよく分かる。我々の研究室はそのような夜型生活は禁止なので春休みの今しかできないが、やっていいならそんな生活を送りたくなってしまう。

 

月曜火曜と、家で頑張ってデスクワークをしたけれど、全然集中できないし母や妹に当たり散らすし最悪だった。2日かけて正味8時間くらいしか集中していない。反省して研究室に来たところ、夜20時から朝7時までぶっ続けでデスクワークに集中することができた。この成果の差よ!!

特に文献紹介というものは、夜長に一気に仕上げるのが一番効率いい業務なのですよ。3晩くらいかけてようやくある程度形になった。「あとは鍵反応と分からない反応だけ」の段階まで進むことができた。ここから先は昼間にきちんと頭を回しながら考えた方がいい。逆に言えばこの段階までは、頭をあまり使わない半分作業なのである。年次が重なるごとに、今までの蓄積が使えるから、頭を使う部分がどんどん減ってきているのである。

一応所要時間を記録していたのだが、この段階までに27.5時間を使っている。一日8時間使えれば3日で終わる量ということだな。あと半分ちょいくらいの時間をかければ終わると思うので、まあまあなペースで進められていることになる。

 

選んだ文献について

今年は見栄を張ってボリューミーな文献を選んだので50ステップ近くあって、やってもやっても終わらなくてひいひい言っていましたが、インタレスティングでエレガントな合成スキームを追う作業は楽しくて好きです。

具体的にはこれです。natureに挑戦しようかと思ったけどやめた。大正義JACSです。

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jacs.0c12948

 

筆頭著者の Fürstner氏は、高知・ヒュルスナークロスカップリング反応で有名なあのFürstner氏である。

www.chem-station.com

どの論文にしようかな、といくつか論文を眺めていたら、インド人のポスドクが「このFürstnerはすごい人だよ!君はこの論文を紹介するべきだよ!」と話しかけてきたので、この論文にすることにしました。

高知・ヒュルスナークロスカップリングは、塩化アリール・アリールトリフラート・アリールトシラートとGrignard試薬を用いる、鉄触媒によるクロスカップリング反応。Fe(acac)3錯体とAr-Clの組み合わせがメジャーだそう。

 

実はこのような長い論文の方が、書けば終わるから意外と楽なことを知っている。JACSは細かいところまで丁寧に書いてくれている論文が多いしね。実は短めの論文の方が、省略が多くて頭を使うから難しかったりする。

 

 

去年について

去年の私はこれと就活の両立ができずに留年を決めました。

しかし今年文献紹介をやっていて思うが、就活と文献紹介を同時進行でやるのって無理だよ。だって文献紹介って大体50時間はかけないと満足いくクオリティにならないんだよ?(もちろん手抜きすればもうちょっと短くなる。)そんな時間就活中にひねり出せないって。物理的に可能だとしても心理的にできないって。

学部時代に実験レポートを書いていた時から思っていたのですが、手抜きして最低限の品質のアウトプットを仕上げるって意外と難しいのですよね。手間をかけて品質を最大まで上げたものを作る方がはるかに楽。少なくとも心理的に楽。

しかし、社会人に求められるのは、前者の、手抜きして最低限の品質のアウトプットを仕上げる能力なのではないかなとは思う。私はそれがうまくできなくて挫折しているので、私はやはり社会人に向いていないのかもしれない。

 

 

 

久しぶりに完徹した朝7時にべらべらと書いた。本日は以上。