大学院生の引きこもりが3年かけて卒業を目指す日記

なんとか卒業して社会人になってしまったのでタイトルどうしようか検討中。大学時代の専攻は有機化学のすみっこ、今は混ぜ物系高分子材料メーカーの新入社員です

今週は厄日

今週(2020年12/15-12/20)は大きな実験失敗を2回もやってしまって心が大きく折れている。ショックの赴くまま記録する。

 

・3Lのフラスコで反応をかけ、3 Lの分液ロートをせっせと回して作った、160 mmol、50 g、の原料の大量合成が大失敗だったことが分かりました。4-6時間かけてあんなに頑張って振った分液ロートは無駄だったらしいです。さらにこの分液ロートとフラスコの汚れが全然落ちません。しんどいです。あと実験はやり直しですしんどいです。

・ザンドマイヤー反応だったのですが、原因はおそらく分かっていて、ある試薬を滴下すべきところを誤って一気に入れてしまって、原料が分解してしまったと考えられます。後輩が自分用のメモに書いた適当プロシージャを信じるべきではなかったですし、さらに上の先輩のプロシージャを読み込んでおくべきだったですし、実験前に思考実験をするべきでした。さらに言えば反応の原理的な面で考えても、この段階は普通に考えて滴下だったと思うので(ザンドマイヤーは低温を保つことが大事なのは学部時代に習う)、やはり私の確認が甘かったということになる。

つまり反省点としては、

①事前にプロシージャを読み込んで作業内容の意味や原理を確認しておくべきだった

②後輩を信用しないことまで含めて私の責任だった

③敢えて言えば、実験が失敗くさいぞと思った段階で早めに見切りをつけるべきだったかもしれない。

という感じになりますかね。来週やり直しです。頑張りまーす(しんどい)

 

・12/18(金)、学部の4年生の時からせっせと取り組んでいた、大環状化合物の精製を、GPCという機械で6時間くらいかけて、500 mg(ステップ数と精製の大変さを加味するとすごく大量)の精製をようやく完了して、最後に分液ロートを用いて塩基で振るのですが、その時の受けの三角フラスコがどうやら割れていたらしく、すべて実験卓にぶちまけました。もうショックでショックで仕方が無くて。

・最初何が起きているか全く分からなかったですよね。その後我に返って急いでこぼれた溶液を綿でふき取りました(溶液をこぼしてしまった時の回収方法として、綿に吸わせてそれを溶媒で洗って回収するのがうちの研究室では一般的です。ティッシュよりも回収率が高いです。他のところでもそうですかね?)。

・こぼれてしまったのがショックでショックで。深夜の2時に号泣しながらこぼれた溶液を回収して、わずかにこぼれていなかった溶液をもう一度分液しました。本当に悲しい。まだふっきれていない。失恋と同等くらいに悲しい。愛しい娘が交通事故で意識不明になったようにしんどい(経験は無いので分かりませんが)

・だってこの化合物の合成も精製もめちゃくちゃ大変なんですよ。まず合成は9ステップかかるし、何より精製が本当に大変で大変で。ある1段階の中間体Aと目的物Bと、精製が大変な段階が2つあるんですけど、両方とも窒素を含む化合物でカラム中でめちゃくちゃテーリングしてしまって、酸性シリカを用いたり展開溶媒に塩基を混ぜたりしても全然解決しなくて、本当に精製に苦労するのですね。

・中間体Aは6時間くらいかけて極性低めの溶媒でゆっくりカラムした後、再結晶を2-3回繰り返せばどうにかきれいになります(このノウハウを確立するのにも半年くらいかかった。)。そして目的物Bの精製も結構大変なステップをかけて精製していて、①注意深くカラムをして低極性のゴミと分離する(ゴミはリンモリを用いて焼かないとTLC上でうつらないし見えにくいしテーリングするモノはゴミが出きらないうちに出てくることはままある)、②GPCで高分子量のゴミと分離する(これも分子量が近いゴミがあるのか結構長時間かけないと分離しなくて、10周くらいしてそれでも若干被るから手前のところは諦めるといった感じである。しかもこの目的物を用いて大事な反応開発を行うのですごく純度を上げたい。そのため丁寧に精製する必要がある。)のような手順を踏む必要があるのですね。もちろんこのノウハウを確立するのにもものすごく時間がかかりましたよ。最初にこの目的物の合成時代を達成したのは学部4年の12月くらいだったので、つまり丸2年くらいかけてこの化合物の精製と格闘してきたんですね。

・というわけで、その、大変だった精製の集大成として、ようやく精製を完了させた目的物が、あの汚い実験卓にぶちまけられているんですよ…?信じられないですよね…?

・どうにか1/3くらいはこぼさずに回収できたので、それを救いと致します。

・一応回収したぶちまけた目的物はいつかカラムから精製し直しですが、まだ心が折れているので多分半年くらい放置すると思います。

・というかもっとふき取りやすくてきれいに見えやすい実験卓を導入してくれればいいのに。でもまああの素材を用いている理由もあるのだろう。汚れが目立つのは利点でもある。

 

・この反省点として挙げられるとすれば、

①フラスコが割れていないか確認しておくべきだった

②引き出しの中で割れてしまうような雑な器具管理をするべきでなかった

③そもそも夜中に1人で実験をあまりやるべきでない

④水曜日の失敗を挽回しなければ、という思いは無いわけではなかったので、そのような思考はやめる。水曜日のような大きくショックな失敗をしたときは冷静な判断が出来なくなりがちだから大事な作業は行うべきでなかった(言い訳すると、目的物が大事ではあるのですが、もうノウハウを確立した精製方法であり、この精製作業は時間かかり手間でありこそすれ、難しくはないのですよ)

の4つあたりが挙げられるでしょうか。

 

 

・私はやはり研究職は向いていないのではないか?注意欠陥障害者に研究職なんて最もなってはいけない職種ではないか?おそらく就職後は致命的なミスによって数千万単位の損害を発生させる予感しかしないぞ?さらに言えばどの職種も、注意欠陥が多発するというのは致命的な欠点になるんだぞ?やはり私はフリーターがお似合いで年収150万の非正規しかやる資格が無いのでは?

・と、ひとしきり騒いだが、一晩寝たら少し落ち着きました。

 

 

 

以上、つらつら語りました。仕事納めまであと1週間です。正直未だこれらのショックから抜けていないのですが、原料合成は年内にできるだけ完了させたいので、来週も頑張って実験を行います。実験大好き♡ 頑張りまーす……