大学院生の引きこもりが3年かけて卒業を目指す日記

なんとか卒業して社会人になってしまったのでタイトルどうしようか検討中。大学時代の専攻は有機化学のすみっこ、今は混ぜ物系高分子材料メーカーの新入社員です

はじめに現象ありき―化学の好きなところ

学部1年とかの頃によく考えていた話。

 

初めに現象ありき

化学という学問は、「はじめに現象ありき」なのである。

まずこういう現象が起こったから、それを説明するモデルを考えるという学問なのである。

高校範囲で言うと原子モデルとかの解明が分かりやすいでしょうか。あれはもはや量子物理学なので話が異なるかもですが。

大学範囲だと軌道の概念とか、不対電子の移動とか、配位子場理論とか、そのあたりの学問が典型でしょうか。まず化学反応のような現象があり、その現象はこの理論ならば矛盾なく分かりやすく説明できるのではないか、と理論を考え、そして検証する。そしてその理論では説明できないところは、例外として処理するか、別の理論を当てはめる。

こう、理論は絶対じゃないんですよ。例えば有機化学で言えば巻き矢印とかの電子の移動モデルで大抵の反応の機構を説明しますけれども、有機金属カップリング反応とかはその理論では説明しにくい。出来なくもないけど。触媒サイクルの方が書きやすいし、私は専門ではないので詳しくないのですが、金属の電荷とか配位子場とかいろんなファクターが加味するから、あの分野は基本巻き矢印を書かない。多分。専門外なので間違っていたらごめん。

私は化学の、とりあえずやってみて結果を出してから後付けで理論を考える姿勢が割と好き。特に有機化学の反応開発とかはそうらしい。私、一生に1回くらい、ゴリゴリの反応開発をやって1ヶ月で200実験やって条件のスクリーニングするとかやってみたいなぁ。その実験のノウハウを身に付けたい。せめてそういう人を隣で見て生活してみたい。

 

最近の研究が、反応開発のまねごとみたいになってきたんですよね。ロタキサン合成に使えそうな反応のモデル基質での条件検討。今Entry 14とかだったはず。この条件無駄かな?とか考えずにガンガンかけることにした。ちょう楽しい…!
あとほんとにおんなじ反応しかやらないから操作が慣れてくるんですよね。分液は後処理含めて20分で終わるし、カラムも簡単だから30分で終わる。これならすごく頑張れば1日10実験くらいも可能かもしれんなと思える。

 

 

狭く深い学問

こないだ高校の友人と話したんですよ。彼女は栄養学科出身で、大学で管理栄養士の資格を取得した。大学でどのような学問を学ぶのか気になったので聞いたところ、非常に多岐にわたる分野を勉強したと聞いた。

細かいところは忘れてしまったが、もちろん栄養学から、生物、化学、薬理学、法律、あと人とのコミュニケーション法など…。

卒業後実務で即戦力となるよう、数多くの実習とともに、実践的な知識と技術を身に付けるらしい。

(ちなみに、管理栄養士の就職先は病院がメインストリームらしい。私、そもそも病院に栄養士が要るということを知らなかったよ。栄養指導とかがあると全く知らなかった。他の就職先は、公務員となり保健所など、学校などの直接雇用、委託で栄養士を派遣するところ、あと食品メーカーなどと聞いた。記憶はおぼろげ。)

 

 

反対に、我々の学問は比較すると本当に狭く深くだなぁと感じる。

学部生レベルは基本的に、有機化学、物理化学、無機化学、あと生化学の分野を勉強する。私の専門の有機化学は、2年かけて1冊の教科書をひたすら勉強する。私の大学は「マクマリー有機化学」上中下合わせて1000ページ。この内容をひたすらひたすら勉強し、網羅的な有機化学の知識を得ていく。

もちろん化学も広いので、色々な分野がありますが、そもそも「学問」としてきちんと分けられている分狭いのだと感じる。

それから、まあ理学部だから当たり前なのですが、我々学生の学ぶ範囲が技術的区分から選ばれているのですね。工学部のように、目的から選ばれていないのです。宇宙工学のように、宇宙にまつわる知識を幅広く学ぶのではなく、「化学」をひたすら突き詰める。

別にいいとか悪いとかではなく、違いだなぁと感じる。

会社に入ったら、後者の考え方が必要なのだろうな、と最近就活していて思う。

たとえば化粧品メーカーに就職したら、化粧品を作るにあたって必要な広い知識を習得する必要があるのだろう。就職したらマインドセットを変更する必要があるな。

 

 

いつも以上に支離滅裂だけど上げる。