大学院生の引きこもりが3年かけて卒業を目指す日記

東京の大学院で毎日楽しく実験をしています。うっかり留年が決まったので3年で卒業できるよう頑張ります。専攻は有機化学。構造有機化学、合成有機化学、遷移金属触媒反応、超分子、ロタキサン。お酒と地下アイドルとシュミレーションゲームが好き。twitter:https://twitter.com/ch2cl21?s=09/

オープンキャンパスでよくある質問

何かあったら困るから大学名伏せるけれど、それだと求めている人に絶対伝わらないんだよなぁ。まあ自己満足だし伏せたままでいいか。神楽坂の理系大学です。

 

私が研究室に所属してから、何回かオープンキャンパス時に高校生の研究室見学を案内したことがあります。その際によくあった質問を思い出し、解答を記録しておきます。

 

留年について

 当大学と言えば留年という印象をお持ちかもしれませんが、化学系ではそんなことありません。普通に勉強していれば普通に進級できます。仮面浪人などを除いて留年する学生は毎年数人もいません。とはいえ勉強していないと単位は結構あっさり落ちます。翌年再履修です。しかし落単位を見越した比較的余裕のある卒業要件になっているので、ほとんどの学生が4年で卒業できます。

 私は指折りにギリギリな方の学生でしたが、1年次に6単位落とし、2年次に20単位くらい落とし、3年次も4単位落として、本来は4年生は授業が無いのですが4年次に4単位をもう一度履修して、どうにかギリギリ4年で卒業しました。これを目指してはいけませんが、こんな学生でも大学院に進学して楽しく研究はやれます。

 他の学科では留年率は異なるようです。特に電気電子系は留年しやすく、半分くらい留年するとの噂も聞きます。

 

サークル活動について

 意外にもこの質問は多かったです。勉強ばっかりしていて遊べないんじゃないか…?みたいな。

 結論から言うとそんなことはないです。学生は皆部活動・サークル活動やアルバイトなどに熱心に取り組んでいます。私もサークルで飲みまくっていましたし、アルバイトは接客と事務職と3種類やりました。文化祭の運営などのサークルに所属する学生もいますし、体育会に所属して毎日のように練習に明け暮れる学生もいます。サークルなどから過去レポや過去問が回ってきますので、非常に有難いです。他のサークル活動が盛んな総合大学と比較すると規模は小さいかな、とは思いますが、それでも十分だと思います。

 むしろ大学に入って予想よりも華やかな学生が多くてびっくりしました。理系なんて陰キャの集まりだろうと思っていましたがそんなことなかったです。化学科だからかな…学科によって違うのだろうか…。

 この大学に入学できる皆さんなら十分に、勉強したうえで部活やアルバイトも効率的にできる、勉強習慣や体力やノウハウをお持ちだと思うので、あまり心配しないでください。

 

 

研究室の配属はどうするのか

 当大学では4年生から研究室に配属されます。そして、当大学では卒業研究は必須ではありません。学生全員分の枠を用意していません。1研究室に平均6~10名程度(教授の裁量による)×10研究室で単純計算で60~100名の枠があり、化学科の学生の人数は100-120名、多い年は160名になるので必然的にあぶれます。

 学生は3年生の終わりに卒研配属希望を出し、教授と面接行い、教授がどの学生を採るかを決めます。この選考基準は完全に教授の裁量で学生からすればブラックボックスです。成績がいい方が基本有利になりますが、必ずしもそれだけが基準ではありません。研究室での集団生活をうまく行えるコミュニケーション能力を重視する教授も多いです。年によっては2倍以上といった本当に苛烈な倍率になります。

 また、当大学の理学部の化学系の卒研配属は、化学科・応用化学科・2部化学科の3学科合同で行います。学生は3学科の研究室の中から好きな研究室を選ぶことが出来ます。私の研究室は化学科の教授で、化学科から入ってくる学生が多いですが、応用化学科や2部化学科から入る学生も常にいます。

 また、外研という制度もあります。当大学に籍を置いたまま、他大学の研究室や他の研究所に所属して研究を行う制度です。基本的に教授の人脈により外研の研究先に派遣されます。私は進路の選択肢に入れていなかったのであまり詳しくありません。この制度により、教授の直接の専門ではなくても、幅広い研究分野を学生が選ぶことが出来ます。

  他の大学では、「学生全員で話し合って全員の配属を決定する(東工大)」、「第三希望まで出して成績順に配属を機械的に決める」などの例があり、学生の研究室配属については各大学で差があるようです。

 

 

卒業後の進路は

 ちゃんとした数字は学校が出しているデータを見ればいいと思うので、私の肌感覚を伝えますね。まず大学院進学率は約7-8割です。これは外部の大学院に進学する学生も含みます。内部進学だけだと半分程度でしょうか。

 学部卒は民間企業に就職することがほとんどです。いわゆる文系就職をする学生も多いですし、学部生でも理系職(技術職)として採用する会社もあります。私は行わなかったので詳しくないです。

 修士卒での進路は

  • 化学メーカーの技術職:研究開発、生産技術、品質管理、知的財産、技術営業など。これがメインストリームな選択肢だと思います。
  • 化学系以外のメーカーの技術職:人気な業界は、化粧品、日用品(花王など。化粧品業界の一部という印象)、食品、製薬など。これらは化学業界とは業界が異なります。私はB to Bを希望していたため余り見なかったので詳しくないです。化学系以外の学生からも人気な業界であり、狭き門な印象があります。
  • 企業へのいわゆる文系就職:近年は企業も研究経験を積み論理的思考力のある修士卒の学生を多く求めているようです。私は選ばなかったので詳しくないですが、IT, コンサルなどの業界をよく聞きます。
  • 教員
  • 公務員(技術職、一般職、総合職)
  • (博士進学)

などでしょうか。

 

化学業界について

 日本の化学業界は、売上高は自動車業界に次ぐ日本第2位の大きな規模を持ち、安定した利益を創出している業界です。主にB to B(ビジネスtoビジネス)なので一般知名度は低いですが、優良企業が数多くあり、当大学から大手化学メーカーに数多くの学生が就職しています。

 せっかくなのでもう少し詳しく化学業界について話します。就活にあたり耳にタコができるほど聞いたので、皆さんも就活する段階になったら飽きるほど聞くと思います。

 化学メーカーにも川上から川下まで様々な領域があります。化学製造業は、石油を扱うエネルギー系→それをポリマー(プラスチックなど)などに加工する素材系→そこからさらに接着剤、塗料、香料、自動車や電化製品の部材、農薬、医薬品の中間体などを作る部材系→(様々な最終製品業界)とざっくり流れていきます。上から下まで手広く扱う総合化学メーカーもありますし、ある1分野に特化したメーカーも多くあります。

 

博士について

 博士への進学率は当大学は高くありません。内部進学でそのまま博士に進学する人は学年で数人です。ただし、私はよく知りませんが、修士から他大学に進学しそのまま博士になる人はそれなりの数いるのではないかと思います。

 個人的な意見では、博士を取りたかったら旧帝大(特に東工大・東大)などの他の国立大学の院への進学をお勧めします。周りに博士が多くいる環境の方が情報も多く入るし過ごしやすいと思います。メインキャンパスでない場所(すずかけ台駒場)の研究室は比較的門戸が広いとの噂を聞きます。

 逆に言えば修士卒で就職するつもりならば無理に他大への進学をする必要はないと思います。我々の大学は、知識と技術をレベル高く習得している上で素直で教育しやすい、企業にとって使いやすい学生を放出する教育を行っているように感じます。

 これは想像ですが、学生が取る進路の雰囲気が、東大・東工大・京大とそれ以外では大きく違うのではないかなーと思っています。その辺に知り合いがいないから分からないけど。

 

化学科と応用化学科はどう違うか

 私の解釈ですが、結論から言うと大きく違いはありません。

  • 講義で勉強する内容は大きくは同じ(有機化学、物理化学、無機化学、生化学ほか)
  • 研究室配属は化学科・応用化学科・2部化学科の3学科合同で配属を決定する

以上の理由により両者に大きな違いは見られません。入試の際の偏差値にどうしてそれなりの差が出ているのか不思議なくらいあまり違いがありません。日本は化学産業が大きく発展しているため、他の分野と比較して基礎研究と応用研究が割合シームレスだと思います。どちらを受験するか迷ったら入試日程で決めたらいいんじゃないですかね。

 

 とはいえ細かくは違いがあるので一応書いておきます。

  • まず教授陣の研究内容、ひいては専門科目の授業内容が少々異なります。特に興味のある研究分野が固まっているのならば、そのあたりを見るといいと思います。ただ高校生の時点でそこまで固まっている学生なんてごく少数ですよねぇ。見分の狭い高校生の時点での興味はきっと数年で移ろいゆくし。
  • 化学科は教員免許を取る学生が一定数いることが大きな特徴です。化学科の特徴は何?と聞かれるとこの点を答えます。近年教員免許を取得する学生は減少傾向ですが、大体1-2割くらいいるのかな?
  • 学生の雰囲気は若干異なるかな、と感じます。年に寄るし言語化は難しいので詳しく語りませんが、応用化学科の方がかわいい女の子が多いと感じます。何故かはよく分かりません。

 

 ただし、同じキャンパスの工学部工業化学科とは履修内容が異なります。工業化学科では、我々が学習する化学の範囲のほかに「化学工学」という分野を必修で履修します。化学品の工業的生産法や、生産を行う上で必要な技術や知識を習得するようです。特に就活の段階では「化学」と「化学工学」は分野が異なり、前者は主に研究開発、後者は主に生産技術を担います。ただし比較的近い分野なので就職後にこれらの分野の行き来は十分にあり得ます。また学部が違うので学内の単位習得要件などが異なるようです。他のキャンパスにある化学系の学科についてはあまり詳しくありません。すみません。

 

 

 

とりあえず以上。また思いついたら追記します。